<バスケット>「私の人生、負け勝ち」大神雄子、現役に別れ

<バスケット>「私の人生、負け勝ち」大神雄子、現役に別れ

 バスケットボール女子で長年、日本の司令塔として活躍してきた35歳の大神(おおが)雄子(トヨタ自動車)が現役生活に別れを告げた。最後の舞台として臨んだWリーグのプレーオフ3位決定戦では終了間際の劇的な逆転で74-73で勝利。有終の美を飾った大神は「もうバスケの楽しさを味わえないのかと思うと複雑な感情がある」と寂しげな表情を浮かべた。



 25日に大阪市で行われたシャンソン化粧品との3位決定戦。試合時間残り30秒を切り、ポイントガードの大神からゴール下で体を張る長岡にパスが渡る。外で折り返しを受けた水島が逆転の3点シュートを決めると、会場内は大歓声に包まれた。残り20.3秒。この試合で初めてリードを奪うと懸命に守り抜いた。大神は「勝負という言葉は勝ちが先に来るが、私の場合は『人生、負け勝ち』。運命的なラストゲームだった」とこみ上げる感情を抑えながら振り返った。



 山形市出身。8歳の時、山形大の監督だった父訓章(くにあき)さんのコーチ留学に伴い、1年間米国に滞在。NBAを見て競技を始めた。愛知・桜花学園高時代には高校3冠を達成し、2001年にジャパンエナジー(現JX-ENEOS)入り。他を圧倒するスピードと技術でリーグ優勝や全日本制覇に何度も貢献した。



 08年に米女子プロWNBAに挑戦したほか、中国リーグにも参戦。輝かしい戦歴の一方、所属先が決まらない苦しい時期や代表落ちの苦い経験も味わった。何があっても「これも人生だから」と前向きに受け止めた。



 大神の背中を追い掛け、渡嘉敷来夢(JX-ENEOS)ら米国に挑戦する選手も現れた。全ての足跡が後輩たちの励みとなっているのだろう。表彰式後には他チームの選手も加わり胴上げされた。今後は未定だが、「選手第一の環境を整えられるようにしたい」。バスケ界はまだ彼女の力を必要としている。【田原和宏】



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